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城山羊の会《微笑みの壁》〜山内ケンジ作・演出 [芸術]

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10月31日、下北沢『ザ・スズナリ』にて、「城山羊の会」の演劇《微笑みの壁》を観てきました。例によってどんよりと暗く薄ら寒い日でした。不思議なことに「城山羊の会」の演劇を観に行くときはいつも天気が悪いのです。雨が降っていたり寒かったり・・。
天気からして、「これから城山羊の会だぞ」と宣言してくれているようで・・。

今回はシュールな所が少し控え目で人間くさいストーリィでした。ある男と女が恋をして結婚する。結婚祝いに仕事仲間や新婦のオジさんが登場する。そこに男の妻がフツーにただいま、と帰ってきて、男の友人と観客はアレッ、この男は結婚していたのかと唖然とする。ここらが山内劇の特徴の一つで、時間を好きなように伸びちぢみ、あるいは飛び越えて話は進む。男と二人の妻、そしてその三人を取り囲む仲間やオジさんの会話がいろいろ飛び交う。会話の進行に山内ケンジの本領が発揮される。
そこで交わされる会話は、まったく誰もが日常的にやっているようなもので、でも他人から見れば、どうでもいいだろ、バカだなあ、というもので、観客はみな大笑いしている。

劇中の人物が表現する感情も我々にはお馴染みで、自分にもあり、身近にもいつも見られるから、笑いは自分に対する笑いになる。そうやって笑うことで、見ている者たちは、自分というものからすこ〜し解放されているんだろうか。

痴情沙汰だから、死ぬの殺すの、というぶっそうな話が繰り広げられる。
吹越満が演じる主人公の男が、そういう激情に対して、(もうやめてくれ、どうでもいいじゃないか・・と)「こんなことで」「こんなことで!」と叫ぶ姿に妙に共感した。

本当にどうでもいいことなのだ。誰が誰を好きになって、また別の誰かを好きになって・・・、こんなこと、ど〜うでもいいことなのだ。
なんで人は人を好きになったりするのか、時間のムダってものだ・・と気が付くまでにはわれながらかなり時間が経ってしまったけどね。

年をとって恋愛沙汰から解放されたら、おめでとう。本当にめでたい。そこから本物の人生が始まるって感じがする。
だから今回の山内劇の恋愛沙汰をを観たのは本当は時間のムダだったと言える。でも劇が終わった後の他人がどう感じたかを考えるのはちょっと面白い。
「どっちかが死ぬのかと思っていた。」なんて声が聞こえてきたりして。

今回は元の妻が去って、新しい妻と男が「秋になったら黄色のイチョウ並木を一緒に歩こう。」というようなセリフで終わった。
観客の反応は、ちょっと拍子抜け、というように見えた。どうころんでもハッピーエンドにはならないのだが、よく映画や劇で見る終わり方は、三人がそれぞれ別々の道を歩んだりする。きっとそれが公平に見えるからだろう。

でも人生は公平じゃない。どちらかが得をしてどちらかが損をする、というのが普通だ。ただし、これも一つの見方であって、別れた方が損ということは真実ではない。損だと思うから損なのだ。
どうでもいいことなら、やはりどうでもいいことで、そういうどうでもいいことに時間やエネルギーを使うのはすごくムダ。その時間がもったいない。

では時間はどうやって使えばいいか。自分の好きなこと、不快でないことに使いたいと思う。恋愛はどうしようもなく捕らわれてしまうものだけど、それは自分が好きなこと、とは言えないのじゃないか。時間を費やして執着する対象として、「人間」というのはまったくめんどうなものなのである。
今、私の頭の中は馬のことだけだな〜、馬のことなら一日中、365日考えて飽きないなあ〜、これはすごく幸せだと思います。

このとりとめのない意識の流れが、劇を観た私の感想。
登場人物のほとんどが演じる俳優さんの名前と同じでした。名前考えるのめんどうだったのかな・・?

(出演者)吹越満  東加奈子 岡部たかし  山本裕子  岩谷健司  金子岳憲
石橋けい  美浦俊輔


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コメント 3

herosia

 これは『新しい男』の続きで、太宰の世界に不足していたもの、言い足りなかったことを坂口安吾的に補完したのです。消極的な恋愛の肯定です。
by herosia (2010-11-02 01:13) 

劇団員

城山羊の会にここ数回の公演で虜になっているものです。微笑の壁の脚本を読んで舞台に興味があるのですが、どのような感じでしたでしょうか?
掲載されている写真は実物でしょうか。少し教えて頂きたく思います。
by 劇団員 (2016-03-22 20:42) 

sachat06

すみません、自分のブログを最近あまり見ないので、コメントが入っていることに気づきませんでした。
城山羊の会の作品には、普通は思いつかないだろうという展開があり、観客も否応なくストーリイに引き込まれます。悪夢のようだけれど、厳しい目で見れば、現実も実際にこんなものなのだろう、と感じるのです。そして、人間にがっかりしてわびしい気持ちで帰るのです。

写真は本物です。ステージがすぐ近くなので、観客もソファーに座って話に参加したい気分になるんですよね。
by sachat06 (2016-07-15 23:38) 

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